卓球初心者の基本|腰を回して打てはウソ!本当は骨盤を回せが正解
卓球の練習中、
「もっと腰を回して打て!」
と声をかた経験はありませんか?
かく言う自分も以前は、「腰を回して打て!」と指導していたこともあります。
でも、腰を回してボールを打つということは、人体の構造上不可能なんですよね。
でも「実際に腰を回しているじゃん」と思う方も少なくないと思います。
実は動いているのは腰ではなく股関節なんです!
そこで今回は
・卓球初心者の基本|腰を回して打てはウソ!その理由は?
・卓球初心者の基本|骨盤を回せが正解の理由を詳しく解説
・卓球初心者の基本|骨盤を回す打ち方を詳しく解説
をお伝えします。
卓球初心者の基本|腰を回して打てはウソ!その理由は?
まずは、「腰を回して打て!」がウソである理由を説明しましょう。
それは、人体の構造上、腰を回すということが不可能だからです。
「イヤ!そんなことないだろう!」
という方のために、チョット簡単な実験をしてみましょう。
まずは、床に足を延ばした状態で座るか、イス(回転しないもの)などに腰かけて骨盤が動かないように注意しながら後ろを見るように腰をねじってみてください。
どうですか?
後ろはおろか真横すら向けなかったのではないでしょうか。
実は、腰(腰椎)の回旋は最大でも10度前後しか回らないのです。
でも、多くの人が10度以上回旋したと思います。
それは、腰ではなく胸部(胸椎)の回旋によるものなのです。
胸椎の回旋角度は35度前後です。
とはいえ、腰椎と胸椎の回旋角度を合計しても、骨盤から上の上半身の回旋角度は45~50度前後しかありません。
つまり、どんなにガンバっても人間の体は、骨盤から上の上半身の回旋角度は45~50度前後しか動かないのです。
そうなると、「腰を回して打て!」というのはウソ!
人体構造上、ムリだということがお分かりいただけたと思います。
卓球初心者の基本|骨盤を回せが正解の理由を詳しく解説
「腰を回して打て!」が人体構造上ムリだということが上記の内容でご理解いただけたと思います。
でも、実際のプレーを見ると、45度以上どころか180度ぐらいまで体がねじられているシーンを見かけますよね?
腰が回らない以上、どこが回っているのでしょうか?
それは骨盤です。
ここでもう一度実験してみましょう。
立ち上がって気を付けをした状態で、後ろを見るように体をねじってみてください。
今度は真後ろを見ることができますよね?
その状態で、体のどの部分がねじられているかを観察してみると、骨盤が回旋していることが分かると思います。
下の図をご覧ください。
図1は、脊椎と骨盤、股関節の動きを簡単に図示したものです。
画像の●が脊椎、◯が股関節、長方形が骨盤です。
直立姿勢で後方を見ようと体をねじると、脊柱を中心に股関節が前後に動くことによって骨盤が回旋し、ねじりを生じます。
つまり、体をねじる動作というのは、股関節を前後に動かすことによって生じる骨盤の回旋と、上半身の回旋が合わさってこそ可能な動きなのです。
中学生卓球初心者の基本|骨盤を回す打ち方を詳しく解説
それでは、いよいよ骨盤を回す打ち方の解説に入ります。
骨盤を回す打ち方の解説の前に、まずは骨盤の回し方の種類について説明しましょう。
「早く骨盤を回す打ち方を教えてよ!」
という方もいるかもしれません。
でも、骨盤の回し方の種類を理解することで、骨盤を回す打ち方がより深く理解できると思います。
2種類の骨盤の回し方「脊柱軸」と「股関節軸」を解説
骨盤の回し方には「脊柱軸」と「股関節軸」の2種類があります。
まずは下の図をご覧ください。
図2が脊柱軸で、図3が股関節軸となります。
脊柱軸による骨盤回旋は、図2のように脊柱を中心として右と左の股関節がお互いの逆方向へ動くことで発生します。
簡単にイメージできるのは、歩いたり走ったりする動きですね。
次に股関節軸です。
股関節軸による骨盤回旋は、図3のように左右どちらかの足の股関節が軸となり骨盤が回旋します。
サッカーのキックが、一番股関節軸を体感しやすい動きだと思います。
両者の大きな違いは、回旋半径の大きさです。
上の2つの図を見てもらえればその違いは一目瞭然でしょう。
脊柱軸の骨盤回旋は、回旋の中心が脊柱にあるため、骨盤の回転半径は小さくなります。
反対に股関節軸だと、左右どちらか一方の足の股関節が軸となるため骨盤全体を大きく回旋することができます。
回旋半径の大きさの違いは、そのままパワーの違いとなります。
脊柱軸は股関節軸に比べて回旋半径が小さい分、素早い回旋ができますが大きなパワーを生み出すことには不向きです。
反対に股関節軸は、脊柱軸ほど素早い動きはできませんが、脊柱軸には生み出せないような大きなパワーを生み出すことができます。
卓球で使用するのは主に股関節軸となります。
「素早い動きが必要なら脊柱軸じゃないの?」
と思われる方もいるでしょう。
でも、先ほど説明したとおり、股関節軸は大きなパワーを生み出します。
回旋半径が大きいといっても、それは脊柱軸と比較してのこと。
体全体の動きから見れば股関節軸の回旋半径はとても小さく、十分な旋回速度を生み出すことができます。
骨盤の回す打ち方を解説
それでは、骨盤を回す打ち方にを解説します。
下の図をご覧ください。
図4~6は各打法ごとの軸と骨盤の回旋方向を簡単に図示したものです。
一見して分かるとおり、各打法ともにフリーハンド側の足の股関節が軸となります。
フォアハンドの場合はフリーハンド側の足の股関節を軸に前方へ骨盤を回旋させます。
バックドライブの場合には、フリーハンド側の足の股関節を軸に後方へ骨盤を回旋させます。
この2つの打法の軸と骨盤の回旋方向はイメージしやすいと思います。
でも、ショートやハーフボレーの時に、フリーハンド側の足の股関節が軸になるというのはイメージしづらいのではないでしょうか?
フォアハンドやバックドライブのスイング軌道は、上から見ると円運動のような軌道を描くので、円運動の中心が軸というイメージが持ちやすいと思います。
それに対しショートやハーフボレーは、前方に突き出すような形のスイング軌道です。
その軌道が軸のイメージを持ちにくくしている原因です。
ショートやハーフボレーを打つ際の軸の位置を理解するには、ラケットハンドの動きに注目すると良いでしょう。
ショートやハーフボレーを打つ際、テイクバックの時の肘の位置はラケットハンド側の体側に近い位置にあります。
これは、フォアハンドを打つ際のテイクバックの肘の位置とほぼ同様です。
そう考えるとショートやハーフボレーのテイクバックの時の骨盤動きは、フォアハンドと同様にラケットハンド側の骨盤が後ろに引かれるのが自然です。
試しにショートやハーフボレーを打つ際、フリーハンド側の骨盤を後方に引いてみてください。
間違いなく違和感を感じるはずです。
ただし、この動きはあくまでも基本的なものです。
実際に激しい動きのなかでは、こういったセオリーどおりに動かない場合も多々あります。
スマッシュなどの全身を使った強打の場合には、ラケット側の足の股関節が回転した後、フリーハンド側の足の股関節が回転する軸移動が発生しますし、逆足打法ではラケットハンド側の足の股関節が軸となります。
また、早いピッチの打ち合いでは脊柱軸になることもしばしばです。
基本はあくまでも基本として、臨機応変に対応できるように普段から動きを伴った練習をすることが何より重要です。
まとめ
今回は「卓球初心者の基本|腰を回して打てはウソ!本当は骨盤を回せが正解」と題して腰を回して打てはウソだという理由と、本当は骨盤を回す打ち方が正解だということを解説しました。
人体の構造上、腰を回すのは不可能ということと、大きなねじりを生み出すには骨盤の回旋が不可欠だということが、ご理解頂けたと思います。
体を正しく使うということは、短期上達につながるだけでなくケガの予防にもつながります。
普段の練習から選手の体の使い方を意識してみてください。
確実に練習の効率がアップしますよ!