初戦敗退常連の中学卓球部が1時間の練習で地区3位入賞した練習法

ぎちぎちのタイトルになってしまいました(^^;)

今回は、以前にとある中学校を指導したときの体験談をお話ししていこうと思います。

その中学校は、大会では初戦敗退の常連校。

練習時間も平日は1日1時間から1時間半で、土日も最大で3時間でした。

そんな練習環境のなか、約半年で地区大会3位に入賞することができました!

あと1勝で県大会出場だったのですが、本当にわずかの差で県大会に届きませんでした。

とはいえ、この体験は、僕の指導者生活のなかでも1位~2位を争う貴重な体験でした。

何か皆さんのお役に立てたらうれしいです。

ことの始まり

とある中学校から指導の依頼がきたのは11月末のころ。

その中学校は、大会では初戦敗退の常連校です。

で、僕に依頼が来た理由は、

「今回の3年生が卒業したら卓球部は廃部となるので、できることなら最後に1試合でも勝って有終の美を飾らせたい。」

とのこと。

時期的には最後の大会まで約半年。

とは言え、これは断る理由はないです!

「全力でやらせていただきます!一緒に最後にいい思い出を作りましょう!」

と、依頼を快諾したのですが…

いざ練習時間や環境を聞いてみると、なかなか厳しい内容で…

練習時間は、平日1時間から多くて1時間半、土日は最大でも3時間以内とのこと。

かなり厳しい練習時間…

しかも選手の技術もチョット大変な状態で…

ラリーをさせても10本続けるのもやっとといった状態でした(^^;)

でも、依頼を受けた以上やるしかないので、いろいろと考えに考えて次のような練習メニューを作りました。

1時間の練習メニューを公開

それでは、その中学校で実際に行った練習メニューの中から、一番スタンダードだったメニューを公開します。

この練習メニューは初公開です。

最初に自分が就任した当初のころの練習メニューをご紹介し、次にある程度技術が身について以降の練習メニューをご紹介します。

就任当初の練習メニュー

就任して一番最初に教えたのは、多球練習でのトスのあげ方でした。

というのも、練習時間も短く大会までの期間も短いので、とにかく1球でも多くボールを打たせなければと思いました。

そこで、お互いにボールをあげて多球練習ができれば、一番ムダなく効率的に練習できると考えたからです。

加えて、お互いに多球練習ができるようになれば、僕が全体を見てそれぞれの選手にアドバイスすることも可能となります。

多分、この方法を取り入れたことが短期間で選手が上達できた一番の要因だと思っています。

多球練習で、ある程度技術が身についてきてからは、1本打ちを入れたBパターンの練習も始めました。

Bパターンの練習を始めてからは、Aパターンの練習とBパターンの練習を毎日交互に行いました。

因みに、練習時間のトータル時間が60分より短くなっているのは、単純に次の準備時間などロスタイムが生じることを考えての事です。

Aパターン(多球練習)

1.サーブ練習(5分)
2.ツッツキ(5分×両者)
3.バックハンド(5分×両者)
4.フォアハンド(5分×両者)
5.フットワーク①(5分×両者)

ツッツキとフォアハンド、バックハンドがある程度できるようになったら、できるだけ早い段階でループドライブなどの練習を始めました。

その理由は、基本的な技術の連携である、ツッツキ→ループドライブ→ロング打法(ドライブ、フラット打ち等)の流れを早めに練習させるためです。

Bパターン(1本打ち)

1.サーブ練習(5分)
2.ツッツキ(5分×両者)
3.バックハンド(3分×両者)
4.フォアハンド(3分×両者)
5.フォア・バックの切り替え(5分×両者)バック回し
6.フォア・バックの切り替え(5分×両者)フォア回し

5のバック回しとは、バックハンドで相手の両サイドに送球することで、同様に6のフォア回しとは、バックハンドで相手の両サイドに送球することです。

就任2か月目頃からの練習メニュー

僕が就任してから2か月が過ぎたころからは、選手もいろいろとできるようになってきたので、練習メニューも少しずつ複雑になってきました。

とはいえ、どうしても練習時間が短いので、できる内容は限られてきます。

なので、練習メニューを組むときに意識したのは、分散できるところは分散し、1つにまとめることができるところは1つにまとめるということでした。

この練習メニューの特徴としては、基本練習は曜日ごとに種目を分けて練習し試合形式や課題練習は比較的時間の多い土日祝日に練習するようにしていました。

あと、フットワーク練習は毎日入れました。

ちなみにフットワーク練習の種目は、2点フットワークやファルケンベリ、以前にご紹介した3角形フットワークをはじめ、数種目を週ごとに変えて行っていました。

水曜日のダブルス練習は、団体戦のダブルス要員だけではなく、全員でダブルス練習をさせました。

というのも、僕はダブルス練習は、フットワークと台上技術を磨く最高の練習だと思っているからです。

このことについては、近いうちに別記事で詳しくご説明したいと思っています。

もしかしたらお気づきの方がいるかもしれませんが、この1週間の練習メニューを見ると、台上系の練習が入っていません。

その理由は、全てのラリーは台上技術からスタートさせるというルールで練習させていました。

具体的に説明すると、バック対バックのラリー練習の場合、バック前のショートサーブからスタートし、ストップやツッツキ、フリックなどから大きな展開へもっていきラリー練習をするようにしていました。

台上技術は、卓球の生命線です。

一番時間をかけなければならない部分なので一番練習できるように、全てのラリーを台上技術から始めることで、練習時間を確保することができました。

加えて、台上技術からスタートするというルールのおかげで、より実戦的な練習となり、集中力を切らすことなく練習ができたのだと思っています。

月曜日

1.サーブ&レシーブ(3分×両者)
2.バック対バック(3分×両者)バッククロス
3.フォア対フォア(3分×両者)フォアクロス
4・回り込みフォア対バックブロック(3分×両者)バッククロス
5.フットワーク①(5分×両者)多球練習
6.フットワーク②(5分×両者)多球練習

火曜日

1.サーブ&レシーブ(3分×両者)
2.バックロング対フォアブロック(3分×両者)ストレート
3.フォアロング対バックブロック(3分×両者)ストレート
4・回り込みフォア対フォアブロック(3分×両者)ストレート
5.フットワーク①(5分×両者)1本打ち
6.フットワーク②(5分×両者)1本打ち

水曜日 ダブルス練習

1.サーブ&レシーブ(5分×両者)
2.フォア対フォア(5分)
3.バック対バック(5分)
.フットワーク①(5分×両者)多球練習
5.フットワーク②(5分×両者)多球練習

6.8字フットワーク(5分×両者)多球練習

木曜日

1.サーブ&レシーブ(3分×両者)
2.フォア・バックの切り替え(5分×両者)バック回し
3.フォア・バックの切り替え(5分×両者)フォア回し
4.フットワーク①(5分×両者)多球練習
5.フットワーク②(5分×両者)多球練習

金曜日

1.サーブ&レシーブ(3分×両者)
2.フォア・バックの切り替え(5分×両者)バック回し
3.フォア・バックの切り替え(5分×両者)フォア回し
4.フットワーク①(5分×両者)1本うち
5.フットワーク②(5分×両者)1本うち

地区大会での様子

この中学校のある地区では、地区内にある8つの中学校を2つのリーグに分けて予選リーグを行い、予選上位2チームが決勝トーナメントに進出し県大会の椅子を争います。

県大会に進出できるのは優勝と準優勝の2チーム。

ちなみにこの地区で予選を突破したチームは、毎年のように県大会で優勝を争っています。

僕が指導していた中学校は、予選リーグを2勝1敗の2位で通過しました。

準決勝となる決勝トーナメント1回戦では、3-2で敗れましたが、非常に素晴らしい試合でした。

ラストとなる第5試合も、セットオールのデュースで競り負けるなど、実力以上のものを発揮してくれたと思います。

試合直後は悔しさを浮かべていましたが、表彰式では全員笑顔で最後の試合を終えました。

終わりに

今回は、僕が以前に指導した初戦敗退常連の中学卓球部が、1日1時間の練習で約半年後に地区決勝進出したときの練習法と練習メニューをご紹介しました。

この時の経験が、その後の僕の指導法のベースとなりました。

選手はみんな、ものすごい可能性を秘めているということを実感させてもらいました。

あの時の選手たちには今も感謝しています。

どんなに厳しい条件でも、工夫とやる気次第で可能性は広がります。

つたない文章でしたが、みなさんのお役に少しでも立てたらうれしいです。

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